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■藤野に最近越してきたシゲちゃんは、巻き毛と野性的な顔つきがちょっとジム・モリソンを思わせる好漢である。1970年の生まれというから、わたしより20歳年下だ。奥さんは看護師で、かれは主夫業を受け持ち、ふたりの子どもを育てている。電気関係にくわしく、その腕前は高性能の真空管アンプを手作りするほどだという。かれとは去年(`03)の5月、「藤野ぐるっと陶器市」のとき、牧野の陶釉舎で行われたロックコンサートで話をするようになった。このコンサートは藤野では最もタイトなバンドとして知られているT・ボーン・シェーカーズが毎年この時期に行っているもので、当日は夕方からたくさんのひとが集まってきていた。ひと通り演奏がなされて、おおいに盛り上がり、そのあとでバンドが休憩にはいったとき、わたしにご指名がかかって、スライドプレイと自作曲を唱う機会が与えられた。わたしは2曲唱った。そうすると唱いおえたわたしに、シゲちゃんが遠慮がちに話しかけてきてくれたのである。それがかれとはじめて話をしたときだった。 シゲちゃんは、わたしのプレイを気に入ってくれたようだった。それはまあよかったわけだが、ここからさらに夜が更けてコンサートがジャムセッションに移っていったとき、シゲちゃんのハープが炸裂したのだ。わたしは驚き、居合わせたひとたちもおおよろこびして、場は最高潮に達した。 ■というわけで、シゲちゃんの多才ぶりがしだいに明らかになっていくわけだが、かれが天然キノコを採集、調理することにかけてすぐれた知識の持ち主であり、世界の食材についても該博な知識と調理の経験をもち、日常の食生活においてもプロはだしの腕前を持っていることが明らかになるにおよんで、この年若いあらたなる友人について、わたしはただ感心するよりなかった。 さて、前置きがずいぶん長くなったが、今回はそのシゲちゃんがわたしにプレゼントしてくれた酒の話である。かれがごちそうしてくれた数々の料理については、かれ自身が別の場所にくわしく書くことだろう。(最近、かれも自分のサイトを立ち上げるべくがんばっているようだ) ■わたしはふだん酒をほとんど呑まない。それは健康上の理由からではなくて、主に経済的な理由によるのだが、おかげさまで飲酒にともなう不調などからは離れていられる。その反面、もともと酒はなんでも好きなので、毎日の食事がエサ化するような気がし、少しょうさびしい。それで、もろもろの行事やら来客、在のアーティストたちの1品持ち寄りパーティなどではつとめてたのしく呑むようにしている。 ■シゲちゃんにはその後、たいして礼をしていない。 |
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