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わが歌は鉄のうた
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■オリジナル・ソング歌詞集A

スネークヘッドバード・コロニー

スネークヘッドバード・コロニーで
あんたにあったっけね
スネークヘッドバード・コロニーは
苦よもぎデルタのすぐそばさ
水の中にも花が咲くよ

スネークヘッドバード・コロニーから
おれは走ったよ
スネークヘッドバード・コロニーに
あんたを置き去りにしてね
いまもあんたは水の底

スネークヘッドバード・コロニーで
あんたを刺しちまったよ
スネークヘッドバード・コロニーは
あいつらの羽音で空が消えたんだ
そしてすべてが水のなか

そうさ、あんたはいつも自分が
神さまみたいにふるまってさ
まるでまるであんたは
支配者みたいだったからね
なのにあんたあれから水の底

スネークヘッドバード・コロニーで
あんたにあったっけね
スネークヘッドバード・コロニーは
苦よもぎデルタのすぐそばさ
水の中にも花が咲くよ

米国南部を代表する作家といえばフォークナーが知られていますが、わたしはアースキン・コールドウェルが好きで、かれの長短編はよく読みました。なかでも『巡回牧師』はわたしのベストフィバリエット外国小説です。この曲はかれの『昇る太陽にひざまづく』という中編を読んでインスピレーションを受け、作ったものです。長い間、レギュラーチューニングで歌っていたのですが、マイナーブルースのチューニングに変えてみたら感じがよくなって先日もシーゲル堂でやりました。

12月の子守歌   
    
囃子ことば/仲村礼子


ねねねのねん ねんねこねん
ねねねのねん ねんねこねん

町でびろうどもろてきた
のっぺらぼうの赤いべべ
さすがはこりゃ相模の風の神
一斗買って八升呑んで高いびき
ごうごうごうごう山が鳴る
ごうごうごうごう山が鳴る

里でうまいは瓜なすび
山でとれたは雉土鳩
鍋でくたくた煮えてる赤ん坊
顔は婆ちゃんヘソ爺ちゃん
けらけらけたけた灰神楽
けらけらけたけた灰神楽



天下無双の追手風
関野でてから苦労した
婆もいくなら爺もいくいく
江戸相撲
赤ちゃんとことこ石老山
ぴかぴかきらきら金の星
ぴかぴかきらきら金の星

畑たがやす貧乏神
さむいお尻だおできがみっつ
だれも知らない昔むかしの
宵よいよい祭り
太鼓の音だけ飛んでくる
とろとろとんとことおせんぼ
とろとろとんとことおせんぼ



長女が生まれてすぐのことでした。かみさんが赤ちゃんを寝かし付けるのに「ねねねのねん」と歌っていたのを耳にしました。へんなこと言ってらあ、と思ったのですが、それが妙に耳に残り、頭のなかに繰り返し響いていくうちにこの曲ができあがりました。

そこは闇の夜

月のない夜は
テラスにでておいで
闇のおばけが手招きしてるよ
星のない夜は
おいでよ子どもたち
闇のおばけと
いっしょに踊ろう
UH…

今夜は闇夜さ
ギターが蒼く光ってる
遠いアジアの
笛が聴こえる
おいでよ子どもたち
テラスにでておいで
闇のおばけと
ダンスするんだよ
UH…

パパは今夜も
会社でお仕事?
でも本当は若い娘と
遊びにいったよ
ママはおめかし
パーティにいったね?
ママのお目当ては
あのヒゲの男さ
UH…

今夜は闇夜さ
みんなが変になってる
闇のおばけは
なんでも知ってるよ
さあ、おいで子どもたち
テラスにでておいで
闇のおばけと
いっしょに踊ろう
UH…

これはA7のワンコードの曲です。リフをたどっていくやつですがリズムがずれないようにするのがちょっとたいへん。教育上よろしくない歌ではありますが、それがなんだって感じで歌うばか親父…

12歳の花嫁

ヤクの背なかにのって
わたしはいきます
顔も知らないあなたの
お嫁さんになるために
花も枯れてしまった
冬の山道を

ヤクの背なかにのって
わたしはいきます
たべるもののない家では
弟たちがふるえています
母さんの涙が
わたしを送りました

わたしの育った村
2ヶ月も雨がなくて
こごえる夏から
すぐ冬になりました

ヤクの背なかにのって
わたしはいきます
顔も知らないあなたも
わたしを打つのでしょうか
今日わたしはやっと
12歳になりました

山を越える鶴のように
私は飛んでいきたい
どこか遠くの花咲く谷間へ

ヤクの背なかにのって
わたしはいきます
顔も知らないあなたの
お嫁さんになるために
花も枯れてしまった
冬の山道を

中国では少女の誘拐が年間2万人に達する、というニュースを聞いたとき、以前から読んでいたベドファイルに関する本との関連が浮かんで、ひとつのイメージが頭から去らなくなりました。少数民族の少女が売られていくシーンですが、それが歌になるまでにはけっこう時間が必要でした。その後、地元の音楽家とセッションしていて、曲の不備を指摘されたり、手直ししたりしてやっとできあがったものです。ですが、こういう歌を軽々しく作って歌ってはいけない、ということは忘れていません。

新宿ゴースト・ブルース

真っ昼間の新宿通りを
かげろうのように
あいつが歩いてくる
長い脚をふらつかせて

ゆらゆらと逃げ水のように
あいつは黒い背広のままで
夏の日射しのなかを
よろめくように歩いてくる

どうしたんだい?
まだ迷ってるのかい
思いを残してあの世へいったんだ
さぞかし辛かったろうに

ひとの流れは絶えやしない
音は降るように
地から湧くように
でもあいつはよろめくように歩く

愛した女は先に逝っちまった
残されたあいつは
生き方をまちがえたんだ
UH…死に方もね

消えない思いを
死なない思いを
かかえてあいつは
いまもさまよう
いまもさまよっている

真っ昼間の新宿通りを
とっくに死んだはずの
あいつが歩いてくる
歩いてくるよ修羅のみち

成仏しろよ
どうにもなりゃしないんだ
憎いあいつらは
のうのうと生きている
いってひざまづくのか
あの女の面影の場所に

消えない思いを
死なない思いを
かかえてあいつは
いまもさまよう
いまもさまよっている
`60年代の終わりから`70年代の始めにかけて、新宿では暴力団の大掛かりな抗争事件なんかがあって、しばしば薬と酒しかやってないようなお兄いさんを見かけたものです。ああいう他人に利用されるだけの人生を生きるしかなかった男たちのことを、もはやいまのわたしは単に批判的にだけは捉えられません。考えてみれば足掛け30年の会社勤めを経験した自分が、かれらと無縁であるとは当然のように言い切れないのですから。

2002年の2月にシーゲル堂で「詩とブルースの夕べ」という催しをやりました。上の写真はそのときのものです。ギターにSCANこと宍野潤二、パーカッションに高橋安子、ストリングス及び笛等にガイネという豪華なサポート陣でした。催しは彫刻科の村上正江さんの詩の朗読があったり、わたしの弟のNAOKIがスライドギターでオールドブルースをやったり、著述業の三宅節子さんが飛び入りで詩を朗読したりとにぎやかで、トリには店長の横山茂さんに歌ってもらいました。準備はたいへんでしたがシーゲル堂でこういう本格的なミニコンサートがやれるということを実証した催しとなりました。
この過程で自分の作る曲のおかしなところを指摘してもらったり、ずいぶん勉強になったものです。ガイネさんなんかは「12歳の花嫁」を聴いてすぐ4/4拍子の曲間に2/4拍子があることを指摘してくれて、さすがプロは耳がちがうなあ、と驚かされたものです。リズム音痴のわたしにはかなしいかなこういうところがすぐに判らない。必死にリズム譜を書いてやっと曲が手直しできたものでした。

今年は繭やのおKYOUことピアニストの室坂京子さんの仕掛けで3月いっぱいシーゲル堂で各種のライヴが行われています。わたしも2日にでました。ベースに高橋政行、ハープに三宅岳、パーカッションにKYOUという今回も豪華メンバー。前回に比べると動員が効かなくてちょっとさびしかったですが、横浜からのお客さんがあったりして春を呼ぶあったかなコンサートになりました。前回同様、弟のNAOKIがオールドブルースをやってくれたのも連続性という意味でよかったと思います。              (2003.3.9)

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