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フィールドノート(28)
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 2009.10.21
  

 ■乾いた山■
ここのところ雨らしい雨がさっぱり降らない。9月から10月の声を聞いても、空はすかっと晴れ続き、洗濯物ばかりが風をはらんで舞う。

ここにまず取りあげたキノコは以前にも紹介した不明菌。食欲をそそるたたずまいではないので試食に踏み切るだけの気持ちにはなれない。
標高が1,000mを越える山であるが、雨が少なくてもこうして姿をみせるところをみると、律儀なキノコだとは思う。

左のキノコは肉質がしっかりしていて、いかにも食用種にみえるのだが、ついに同定できなかった。
キノコの研究が進むにつれ、これまで食用とされてきたものが次々に要注意種となっている。左下のカバイロツルタケは発生期間が長く、里山から高山までどこでもみかける種類で、たべてもそこそこにおいしいキノコなのだが、最新の図鑑では警戒マークが施されている。下もカバイロツルタケの幼菌。柄が太く、一見別種にみえる。
ブナの樹洞にひしめいているセンボンクズタケの仲間。そこは居心地がいいようだね。



ホコリタケ。小型種のキツネノチャブクロ。たくさん生えていて、新鮮だったので持ち帰った。
キツネノチャブクロの含め煮。軽く茹でて皮をむき、出し汁で煮る。珍味!
ナギナタタケ。これが食用だったとは、あー知らなんだ。写真だけとってきた。

里山を散歩する。キノコは少ない。左はアワタケ。上はサマツモドキ。コナラと杉の切株に生えた。
写真ではムラサキシメジにみえるが、この3点は近縁のウスムラサキシメジである。どうもうかつに食べると中毒するらしい。食べるとしたら、なにより茹でこぼさないといけない。それにしても香りがきつい、というか臭い感じだ。紫色のキノコは安全だという神話があるけれど、黄色信号だ。以前、サレキムラサキと仮称してヒラタケ型のキノコを紹介したが、あれは新種ではなくて、このウスムラサキシメジの弱生長時のものだったかもしれない、という疑問が最近わいてきている。
カラカサタケ。乾燥に強いキノコである。乾いた山肌を取り巻くようにリングを描いて発生していた。最近ではむやみに食べないように注意が喚起されているようだ。傘を焼いてしょうゆをつけて食べるとうまいのだが…。長いスパンで健康のことを考えると、見ておくだけの方がいいのかもしれない。

うれしいプレゼント。
名倉のシゲちゃん、あっちゃん夫妻が標高1,500m級の山に登って、たくさんキノコを採ってきた。いっしょにいきたかったのに、わたしは風邪でダウン。微熱が続いて横になっているところへ、おふたりがどっさりお裾分けを持ってきてくれた。さすがに高山のキノコは迫力がちがう。味がちがう。感謝感激である。
ハナイグチこの季節最高の贈り物。
アカモミタケ。発生が早い。このへんの里山だと本格的発生は11月になる。
うつくしいキノコ。コガネヌメリガサか、キヌメリガサか、オオツガタケか?ついに判らずじまいになった。
ホウキタケ茶褐色に変色しているが、味はよかった。
ハナイグチと野菜の辛味炒め。しまった柄と重厚な傘の味わいがなんともいえない。

タヌキの足跡。我が家のまわりにはいたるところにある。家の裏を昼間でもうろつく。
先日、朝の8時ちょうどに次女と鹿をみた。場所は青田への一本道の峠にあたるところだ。次女を中学へ至る20号線出口の橋まで送ろうと車を走らせていた。「鹿だ!」と車を止めた。次女も初めて目撃して驚いている。次女は修学旅行でこの春、奈良を訪れている。鹿はたくさんみてきたのだが、まさか地元で目撃するとは思わなかったのだ。ところで、わたしはこの地で鹿をみたのは2度目である。最初は夜中だった。今回と同じく角の立派な若鹿である。おそらく丹沢からおりてきて篠原川沿いに青田まで駆けてきたのだろう。大型ほ乳類の濃厚な気配を残して鹿は杉木立へ消えていった。しかし、その先は相模湖へ突き出た半島になっている。行き止まりなのだ。鹿がこのさきどうふるまうのか興味はつきない。
ことほどさように、今年はほ乳類の活動が盛んだ。とりわけタヌキの行動が活発である。夜中に数匹が連れ立って歩き回っている。昼間もごそごそしている。おかげでコジュケイが鳴かない。雛はかなりやられたかもしれない。アナグマは相変わらずだ。これも数頭がかたまって行動していた。ウサギとリスは地上と頭上を例年通り飛び回っている。ハクビシンは、裏年で実りの少ない柿を熟さないのに食べ廻っているようである。
早朝、アオゲラのドラミングで起こされる。こいつは鳥のくせに、追い払うと「ケケッ!」と人間のあざけり声そっくりに鳴いて逃げていく。しかも、毎朝しつこくやってくる。ネットでも張ろうかと思わないでもないが、からまったのをどうするか考えると実行には移せない。ひとと動物の共存が、しかしてがまんくらべが続いていく、というわけだ。(2009.10.21)

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