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◆コウタケ裏面。くすんだこげ茶の針が無数に生えている。特有の香気は上等のダシの匂いに近いか。 |
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■キノコの愛好家、薬膳の研究家、日本料理の奥義を極めんとする料理人など、このコウタケを思う存分まな板に乗せたいと願うひとたちは少なくない、と思う。ところが簡単には手に入らない。里山から高山まで分布は広いけれど、商品価値の高さゆえ、たいがいの発生場所は荒らされてしまっている。とうぜんのこと、残る発生場所は限られている。よほどの幸運がなければ自然に生えているコウタケには遭遇できない。
よく山ツツジの下に生える、などというキノコ名人の口伝があったりするが、本当だろうか。わたしが採集したのは里山の北側斜面であり、篠竹がその場を覆い尽くそうとしているような所だった。藤野での採集は2度目である。かたわらを車が疾走するような地に貴重な素材が自然発生していることを、おそらく地元のひとも知らないだろう。 |