■珍味といわれ、昔から神秘的な薬効までうたわれてきた岩茸であるが、初めてのひとだと、これがそれだよ、と教えられるまではそれと気付かないくらい地味なものである。幸い、場所はまったく荒らされておらず、全体に数は減るどころか増えているほどだった。環境が良好に保たれていたのだ。岩茸は極端に成長が遅い。5cmほどの直径に育つのに10年かかるという説もある。わたしは10年ごとぐらいに訪れて、少々をいただいていく採集者であるが、そのくらいのサイクルが岩茸にはぴったりなのだろう。世の中には毎日朝からステーキでいい、というひともいるらしいが、毎日岩茸を喰うというのはいくらなんでもありえない話だ。生涯に5〜6回でいい。そうすることが幻の食材らしいし、資源の保護にも役立つと思う。シゲちゃん親子はサバイバルみたいにがんばって採集。岳ちゃんは岩茸との遭遇は初めてとのことで、盛んにシャッターを切っていた。 |
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▲湿り気をおびている場合は表面の緑があざやかだ。乾くとぱさぱさになってもろくなる。取扱いがむずかしくなるので、この日のような、数日雨の続いたあとの曇天というのは最良の採集日和だったわけだ。 |
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