■ウスヒラタケはどんな料理にもあうキノコである。しかも今回の場合、天気の日が続いていたから菌体が湿っぽくない。香りがすばらしい。天ぷらにしても充分いける。こういうときには天然キノコは水で洗ったりはしないものである。せっかくの香りが飛んでしまうからだ。塩水に漬けて虫だしするのも控えた方がよい。仮に虫がキノコのなかに潜んでいたとしても、それはそれでおのれの消化器官にまかせる、というのが貴重な地の恵みに対する正しい態度だと思う。そこでわたしは小型で先細の洋包丁を用意し、これの先端だけを使って、おおきい菌体のものを中心にゴミを取り除いていった。そのうえで薄衣の天ぷらにしてみたけれど、まさにそれは極上の味だった。 |
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▲基物はコナラのようだ。ほかの部分には多孔菌が寄生していた。 |
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