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第5号

 先生のおもいでの一冊(5)
渡邊克之先生 松岡ヒロ子さん
「ほしのこピコとポコポン」
前川かずお 作
小峰書店
「風の又三郎」
宮沢賢治 作
岩波書店、講談社、
ポプラ社他
 小学校1、2年生のときに親に買ってもらった絵本です。
 空から落ちてきた流れ星のピコをたぬきのポコポンがホタルとまちがえて飼おうとするお話です。特に朝になってピコが光らなくなって、ポコポンが死んだと思って木の葉にのせ、川に流すシーンが印象に残っています。今もあるかどうかわかりませんが、ぜひこどもたちにも読んでほしいなと思います。
小学校の時、学校で本を読みました。その後で学校で映画を見せてくれたので、なおさら印象深く、雨の降る場面でうたわれたドードードーという歌は今でも覚えています。

おとなへのおすすめ本
「風の誘い」
茂市 久美子 文
こみね ゆら 絵
講談社
 「幾つになっても、少女趣味がぬけきらないのねぇ」
 三十本近くのバラの花びらを、バスタブに浮かべ、その香りに身体を漂わせている私に娘がいう。確かに少女趣味、その他にも否定できない私の言動の数々。そのひとつがこれである。香りにひたりながら、私は妖精になる夢を見る。そんな夢物語のような本の一冊です。
 その頃、中学生だった娘にみつけてきた本だったのだが、その本は、いつの間にか私の枕元にいつも置かれることになった。
 自分を見失いかけた主人公が、古い絨毯店の主人(老人)に頼まれて、一枚のペルシャ絨毯を捜しにインドに出かける。その地で彼女が出会うペルシャ絨毯にまつわる不思議な物語。読んでいくうちに、私の目の前に一面ひなげしが織り込まれたペルシャ絨毯が広げられていた。
 たかが子どものものと思いがちの本の数々。でも、そこで何かに出逢うのは子どもばかりではなく、いつの間にか大人になってしまった私たちにも夢は与えてくれているのです。
 お母さんばかりを続けていると、つい忘れてしまっている自分の少女の時の思い、あこがれ。もう一度、夢見る少女に戻って、ティータイムにやすらぎはいかがですか?
                           (諸角節子)