ホームヘルパー全国連絡会ニュースbP

              2001年4月10日 ホームヘルパー全国連絡会発行 

    厚労省に、家事援助の大切さと家事・身体の報酬の差を訴える

    全国ホームヘルパー交流集会報告

    入会申込書に書かれた「会」への要望と意見

    会員のみなさんへ


厚労省に、家事援助の大切さと家事・身体の報酬の差を訴える

 全国交流集会(18日)の翌日、厚生労働省に、集会の内容を報告しました。その日は、厚生労働省の担当者が不在だったため、日を改め3月2日金曜日の午後2時15分から話し合いをおこないました。
 厚生労働省振興課からは、三尾谷課長補佐(ケアマネジャー・研修担当)、田村課長補佐(事業所・運営基準担当)、記録係として人材研修課職員が出席。連絡会からは、井上、桜井、根本、根橋(以上呼びかけ人)が出席しました。自己紹介後、桜井さんより、別紙の「全国ホームヘルパー交流集会報告」にそって説明をし、意見をうかがいたいと申し入れましたが、三尾谷課長補佐から、「せっかく来たのだから、皆さんのお話から先に」と言うことで、それぞれが発言しました。
 まず、ヘルパーが行なっている家事援助は、ただ単に家事を代行しているものではなく、対人援助業務であり、人の生活を支えるヘルパーの業務の中においては、重要な部分であるとして、家事援助の大切さを訴えました。同時に、「資格制度を導入したのは、対人援助業務にも対応できるようにと、質の向上をめざしたのではなかったのか」と訴えました。
 そう考えるとすれば、「家事援助業務と身体介護の報酬に差があるのは不合理ではないのか」と強調、現場では、1日どう頑張っても、8時間拘束で5時間の報酬にしかならないため生計がたたず、ヘルパーを辞めざるをえない状況に立たされていることも話しました。

見直しをしたいので、タイミング良い時期に提案してほしい

 それに対して、田村課長補佐から、次のような話がありました。
 「みなさんが言う『質の向上』というのは、技術としての質なのか、それ以前(技術以前)の問題のことですか。確かに研修の問題では、介護福祉士との接点で悩んでいます。介護福祉士の位置づけをどうするか、1・2・3級の入り口を広くするか、狭くするかという問題があるが、狭くするとヘルパーの数が少なくなるということがあります。
 8時間拘束、5時間報酬という問題が出ましたが、これは事業所の管理上の問題ですか。それともシステム上の問題ですか。事業所の問題なのか、ヘルパーの問題なのか、この辺のところを整理をしてほしいと思います。
 国としては、基本的な大枠づくりのみをして、規制を緩和し、個々のところは、その裁量にまかせるというのが、いまの方向性です。
 利用者側に立っておこなう、援助サービスとしての『働きかけサポート』は、介護保険の給付対象業務として可能かどうか。見直しは必要ですから、タイミングの良い時期に提案してほしい。知ってのとおり、私たちは、ヘルパーについては、他のヘルパー団体などとの窓口を持っていますが、一回目の話し合いとしては、問題提起もあり、今後の取り組みの一部指針にもなったかとも感じられます」
 以上の話し合いのあと、今後、連絡会の窓口としては三尾谷さんが対応することになりました。


 厚生労働省老健局振興課長 木倉様

     全国ホームヘルパー交流集会報告

日 時: 2001年2月18日 PM12:30〜PM4:30
場 所: シニアワーク東京 講堂
テーマ:    家事援助の大切さを事例を通して考える
       (その後「ホームヘルパー全国連絡会設立」)
内 容: 別紙のとおり
参加者: ヘルパー・関係者400名、報道関係40名
入会者: 144名。その後連絡問い合わせ、2月28日現在約50件、現在も継続中。
ヘルパー・利用者・家族・関係者より幅広い層で問い合わせあり。

            伝えたい私達の思い

 まず、有志個人で呼びかけたこの集会に、こんなに大勢の方が集まってくださったことに、私達は、驚くとともに大きな励ましをいただきましたことを報告いたします。皆さんが、本当に在宅の現場をよくしたい、また、このままではヘルパーが潰れてしまうという危機感をもって参加されていたことが、ひしひしと実感として受け止めることができました。

 今回、私達は「家事援助の大切さ」について意見を交換しあいました。それは、ヘルパーの仕事が、人々の「生きていくこと」「暮らしていくこと」に関わるものであるからです。ヘルパーは「個人のお城」という家庭のなかで、「家事行為」を通して、「プライバシーそのもの」にふれながら仕事をしていきます。その援助は、単なる「家事代行サービス」とは、全く異なった意味をもつものです。

 ヘルパーの仕事には、「直接援助」と「働きかけ」という要素があります。直接援助は、それ自体「援助の目的」でありながら、同時に利用者の生活全体に対する働きかけの手段ともなっています。
 その場合「家事援助」と、「身辺介護」は直接援助の類型であって、利用者の生活に対する「働きかけ」という側面からみると、「介護」という同質の業務であるといえ、専門性に対する優劣はつけられません。むしろ、場合によっては、家事援助の方が利用者と利用者の生活に対する多様な「働きかけ」の幅があります。本人らしい生活、QOLの理念からも、家事援助の果たす役割はとても大きいといえます。

 家事援助に高い専門性は必要としないという考え方は、誤りであると考えます。
 たとえば、家事援助で、廊下や床に置いてある家具の配置を変えるだけで、転倒を予防したり、トイレまでの歩行が安定し自立する役割を担うことができます。食事作りは栄養を与えるだけでなく、生きる楽しみと、健康を呼び戻します。清潔なシーツは、辱創を予防しまた治癒に結びつきます。快い生活環境を整えるということは、心身の状態の悪化を予防し、寝たきりになるのを防ぎます。

 今、ヘルパーの業務は、単なる手作業ではなく、対人援助業務として評価するのかということが、問われているのではないでしょうか。集会に参加した全国のヘルパー達の生々しい声は、「私達の仕事は単なる手作業ではない。利用者と共に利用者の生活を支えていく利用者主体の共同作業なのだ」という現状と実感を訴えていたものと思います。

 現場で仕事をする時に、現在の介護保険法のもとでの「家事援助業務」と「身体介護」の報酬の差は非合理であると考えます。人の生活は、「家事」「介護」と分断されるものではないからです。「家事援助業務」の大切さを勘案して、介護報酬の見直しを行っていただきたいことを、切に希望いたします。

 ホームヘルパーの仕事が専門職であるということに対して、学問的な裏付けをとれるのかという問に対しては、まだ答えることができません。しかし、家政学・心理学・社会学・リハビリティーション・地域福祉など、さまざまな分野を包括して将来的に確立される可能性を秘めていると考えます。

 私達は、21世紀が協働と連帯の希望に満ちたものになることを願っています。文化や、産業の発達は、人々の暮らしの上に成り立っています。老いや障害で暮らしが成り立たなくなった時に、ヘルパーの援助は、それを支える基盤です。「家事援助」が命を支え、「家事」の対象である衣食住は、文化そのものです。
 私達も協力できることがありましたら、いたします。共に、ホームヘルプサービスを、良い方向に導きだすことが私達の願いです。

 現在、ホームヘルプサービスの分野には、若者たちも希望と熱意に燃えて参加してきています。また、養成講習には純粋に社会のために役立ちたいと中高年層の方も積極的に参加しています。それらの方達の思いを生かすためにも、介護の現場が安定したものであらねばと思います。

 最後に、集会の中では、その他さまざまな問題も提起されました。それらについても、私達は皆の声を真摯に受け止めていかねばと考えております。援助にあたって相談する所がないというヘルパーの悩みと同時に、利用者の方も相談する所を求めてきています。私達は、ささやかながらその相談窓口として、ホームヘルパー全国連絡会を設立しました。所属を超えて、誰でも参加できるゆるやかな会です。

 以上、2月18日の集会と、ホームヘルパー全国連絡会の主旨についてご報告いたします。
 何卒、私達の真意をご理解いただき、今後の政策の中に現場の声をとりいれていただきたく、ここにお願い申し上げます。

  2001年3月2日

                        全国ホームヘルパー連絡会 世話人 一同


入会申込書に書かれた「会」への要望と意見

入会の申込書に書かれてありました「要望と意見」を、ご紹介します。「連絡会」としては、これらの要望・意見を活かすようにつとめていきたいと思います。

●ウォームハートの(あたたかい心をもった)方々の中で、職業として確立するにはホームヘルパーの個人の意識の向上が大切であると思います。やめようと思っていましたが、少し待ってみようと思いました。

●現在、ヘルパー1級取得のため、専門学校に行っています。介護保険の仕組みやヘルパーの質の向上はどうあるべきか、今後一緒に考えさせていただきたいと思います。お仲間に入れてください。

●今後のご活躍を期待します。フロアから利用者の方の発言がありましたが、利用者の立場に立った活動の必要性を感じました。同時に利用者の家事・身体の区分の理解、また知っていながらの依存に対する相互理解も必要と考えました。

●大阪堺市で「さかいヘルパー連絡協議会」(仮称)を立ち上げる予定です。全ての介護職の専門家としての質向上・地位向上などを目指し、ともに勉強し意見を交換しながら介護する側、される側が同等にかつ膝を交えて話ができる場所を作るのが目的ですので、今後ともよきアドバイス等をお願いします。

●ヘルパー同士の「グチの言い合い 全国版」でなく、個別の事例から普遍的な「問題」「方針」などを見出していきたい。

●現場の声と悩み、事業展開をしていく上での声、悩みなど、全体的に広くとらえた介護の声を大切にした組織になってほしいと思います。

●4月より、ヘルパーステーションを立ち上げる予定で、準備中です。私自身は施設で働いていたもので、現在、ヘルパー研修中です。サービス提供責任者として働く予定ですが、身分は常勤ながら、時給計算の収入のみです。

●東京まで出るのは大変なので、支部のようなものができて「たまり場」的に利用できるようになることを望んでいます。

●家事援助と身体介護との区別は必要ないと考えています。さまざまな思いで参加させていただきましたが、木下先生のお話を久しぶりに聞かせていただくことができました。ありがとうございました。ヘルパーの身分保障が実現することを願っています。

●会則(案)の(5)のなかに「途中退会」の項目がありませんでした。マスコミも利用できれば、内輪だけの話でなくなると思いますが。

●準会員として入会申し込みをします。これから2級の資格を取得しようと考えていますが、現在のホームヘルプサービスの状況を知らずにこのまま従事するよりも、多くのヘルパーさんの話を聞くことが最もいい勉強方法だと思いました。

●藤沢市でも、平成12年8月に「藤沢登録ヘルパー連絡会」を発足させました。ヘルパー数が500名のなか、会員はまだ100名くらいです。在宅支援センターとも話し合いの場をもったり勉強会をしたり、各地区(市内)によって状況が違うことなどを情報交換して、とても勉強になっています。この全国連絡会も発展して、私たちの意見、要望が大きくまとまり、国なり県なり市町村に届くことを願っています。

●ホームヘルパー1級、2級を県立の機関として養成しています。ホームヘルパー養成、または継続研修に対して公的機関としてできることはないか、いつも考えていました。現場の声を聞きたくて参加しました。感動とともに、さらに努力していこうと思いました。
 どのような研修プログラムを、どのような日程、時間で開催すれば、現場のニーズに応えられるのか教えてください。

●ケアワーカーとしての仕事の悩みなど、どんどん話し合える会にしたいですね。

●各事業所のヘルパーとの連絡等横のつながりがないと、悪く言えば勝手な援助になってしまい、統一化されたよりよい援助や問題点の発見と解消につながっていかないと思います。

●協力しあい、ヘルパーの仕事の評価を認めてもらいましょう。

●・ヘルパーの資質の向上のための対策
 ・ヘルパーの待遇改善のために

●名古屋を会場に、是非お願いいたします。

●・情報がほしい
 ・身分保障を確立したい

●ヘルパーの地位向上と専門的職業としての力量を高めるため、がんばりたいと思います。

●・研修を喜ばない職場では、いつもヘルパーが「将棋の駒」状態で、少しも前進がなく不満ばかりが募ります。事業所自体も「研修をしてもらいたい」という気持ちをもってほしい。 
・ケアマネージャーで、現場を知らない人が多い。老人の意見を汲み取りきれず、押しつけの援助をしている所がある。

●ヘルパーの地位向上の前に確立をさせてください(原文ママ)。

●在宅生活の要である訪問介護。援助を必要としている人々の生活を支える、質の高いヘルパー育成のために頑張りましょう。

●ホームヘルパーの問題を一緒に考えていける仲間ができ、大変心強く思います。地道に長くがんばっていきたいと思っています。

●・ホームヘルパーとしての仕事の社会的な確立を訴える 
 ・ヘルパーの地位向上 ○介護保険の見直し

●ケアマネージャーとの介護の認識の違いやヘルパー側の思いを話し合いたいと思っても、技術面の到達度がさまざまなことから、自信をもって話し合えないコーディネーターに悩まされることが時折ある(この人も悩んでいる)。こうしたことも知りたいと思うので、まずは情報を。研修の仕方なども知りたい。

●ヘルパーの地位向上のための活動はもちろんですが、ヘルパー保険のような相互扶助の制度づくりもしてほしいものです。

●昨年の9月よりヘルパーになりました。資格を取ったのは、それより少し前でしたが、経験がないとダメとか(資格を取ったN学館でさえ経験ゼロはダメと言われた)交通費を出せないとかの納得いかないことだらけで、スタートできませんでした。現在所属しているところは交通費は全て出ますし、時給もまあいい方なので働いていますが、やはり身分の保障がないので(私は別居中で自立していかなければいけないので)ヘルパーの仕事にやりがいはありますが、収入、将来のことを考えるととても不安です。政府が考えて、改めてヘルパーの地位を是非とも向上させてほしい。ヘルパー自身、向上できるよう学んでいかなければと思います。

●これからもよろしく!! 大成功!!

●ヘルパーと事業所経営との間にズレがあり、今ギクシャクしています。ヘルパーとして事業所の経営方針など、情報がいただければ幸いです。ヘルパーとしての地位確立がしっかりしたものとなるよう、切に望んでいます。

●全国的に公務員ヘルパー、行政直営福祉現場が民間委託化され、公務員の現業リストラが進んでいます。いままでの仕事の実績への評価は無に帰され、各職場の「素人化」から、当事者の声はあがりません。このように扱われることに心から怒りを感じています。


会員のみなさんへ

 今年は、各地で交流集会を開いて、家事援助を中心に研修を

 ホームヘルパー全国連絡会のこの1年は、2月に開いた交流集会を、各地で開いていくことになりました。入会申し込みに書かれた要望や意見を見ると、「交流したい」「勉強したい」という声が多いことがわかります。ヘルパーの専門性を確立していくためにも、お互いに情報を交換しながら、日々の仕事の中から、「専門技術」と言えるものを、研鑽していくことも大切になってきています。そこで当面は、会を知らせていくこととあわせて、交流集会を開き、事例にもとづきながら勉強し合っていきたいと思います。交流集会は、新潟、長野、関東、名古屋、関西、広島で開くことができないか、検討しています。協力いただける方、お手伝いいただける方は、ご連絡下さい。

 毎週木曜日の夜に、世話人が事務所に詰めています

 会の事務局では、毎週木曜日の夜に、事務所を置いている萌文社に詰めることになりました。当面は輪番で2名が事務所にいますので、相談・悩みや情報がありましたら、ご連絡下さい。
 木曜日夜6時30分から8時30分まで。
 TEL03−3221−9008
 (萌文社気付、ホームヘルパー全国連絡会あてにお電話下さい)

 アンケートに声をお寄せ下さい

 ホームヘルパー全国連絡会の会員のみなさんのご意見や要望を知るために、アンケートをおこないます。別紙同封されている、アンケート用紙にお答えいただき、ファックスや郵便でお送り下さい。

 郵便振替の口座ができました

 会費がまだの方、振り込みをお願いします。
 口座番号 00190−7−662087
 口座名称 ホームヘルパー全国連絡会

 Eメールのアドレスとホームページを開設しました

 ホームヘルパー全国連絡会のEメールアドレスとホームページを立ち上げました。ホームページは、まだ、不十分ですが、一度、ご覧になって下さい。
 これからは、意見が書き込めるページや写真なども掲載したいと思いますので、よろしくお願いいたします。

 Eメール helper@mdn.ne.jp
 ホームページ http://helper.mdn.ne.jp

 シンポ報告集、まもなく完成

 2月18日の全国交流集会のシンポジウム報告集は、4月末完成予定です。購入されたい方でまだ申し込んでいない方は、申し込んで下さい。
 定価は800円の予定です。

[Top]    [Home]